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​うさぎの飼育

 歴史と目的・福島県

〇 当時の状況

 昭和初期からの恐慌の影響を受けて農村は貧

 困にあえいでいて、全産業別就業者が50

 %に達する農村人口をいかにして救うかが国

 や県の政策上の重要な課題であったこと。

 長引く不況の影響を受けて、農家では青田売

 りや欠食児童さらには子女の身売りなどが行

 われて問題は深刻化していたこと。

〇 うさぎの用途は産業として役立った

  1、毛皮・防寒具、服飾品など

            輸出や軍需品として

  2、毛 ・防寒具、服飾品、毛織物の原料  

            輸出や軍需品として

  3、肉 ・食 用、軍需や自家用として

〇 飼育について

 うさぎは粗食に耐えて、田畑の周辺にあるハ

 コベやクローバーなどの雑草や豆腐の副産物

 であるオカラを食しても成長することから、

 女性や子供でも容易に飼育すことができた。

 このため学校や婦人会などに呼びかけて各地

 に養兎組合を作って飼育を奨励した。

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吾妻小学校養兎組合

 〇 品種について

 商品として出荷するためには、高い品質と

 一性が求められるため、品種改良に基づ

 く良質の種兎を開発して、これを各養兎組

 合に与えて飼育させる必要があった。この

 ため、農林省と県は常松號をはじめとする

 種兎の改良育成の指導に当たった。染色等

 の加工の容易さもあって、輸出品としての

 適合性から日本白色種日本アンゴラ種

 (いずれも白色)が 主流となっていった。

 〇 農家の副業として           

 当時の農業の二大生産物はコメと繭(生糸)

 であったが、戦争や経済の影響を受けて収

 入は不安定であり、農家経済は疲弊してい

 た。うさぎの飼育は、国や県が戦前から農

 家の副業として奨励してきたが、戦後は特

 に外地から復員者が多数帰還して、その多

 くが農山村地に入り開拓者として辺地の

 業に従事した。輸出品としての貴重な外貨

 の獲得と、所得の低い農家の収入増を図っ

 て農村集落の発展を図る一石二鳥の効果を

 狙って、福島県は副業として兎を飼育する

 ことを奨励した。 

日本アンゴラ種

(六甲山牧場)

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